「あら?これはユーリ様のベール...さっきお衣装を運んだときにでも落としてしまったのかしら?」






一緒に歩いていた、リュイとシャラに部屋まで持って行ってくることを一言伝え、ユーリ様のお部屋へと向かった。















ドサッ――――――















「 ん?? 」






ユーリ様の部屋へ行く途中、何かが落ちるような音がした。






「ここは...ユーリ様のお隣の部屋よね?ここは確か空き部屋のはず...。」






空き部屋からの変な音を変に思い、音のした部屋の扉を開けた。










「誰かいるの? ここは空き部屋でしょう。」






扉を開けて見てみると、そこにはユーリ様と同じ、黒い髪、黒い瞳の女性が座っていた。






「あなたは誰!? ここの女官では無いみたいだけど...。」






と、問いかけても彼女はポカンとするだけで何も答えてくれない。






「誰かいる!?リュイ!!シャラ!!」










もしかしたら、皇太后からの刺客かもしれないと思った私は、スッと懐から短剣を取り出し、彼女へと向けた。






「姉さん!!どうかしたの!?」





リュイとシャラは同時にこの部屋へと飛び込んできた。






私は大声で叫んだことによって、2人だけではなくイルバーニやキックリ達もやって来た。










「これは...?」










すると彼女は人がたくさんやって来たことに驚いたのか、私の短剣を怖がったのかはわからないが、
ポロポロと真っ黒の瞳から、涙を流していた。










何を話しかけても何も答えないのだと言うと、イル・バーニ様がこれは言葉がわからないのではないかと仰った。






「この程度で泣き出すような小娘は、皇太后殿の刺客ではないだろう。」










皆で話し合いをしているところへ、カイル殿下がやって来られた。






「どうした?皆集まって...先ほどハディは何を叫んでいたのだ?」






カイル殿下は皆の方を向くと、下で座り込んでいる女性のいでたちを見て驚いたのか、目を見開いて女性の方を見た。










「おお、これは殿下。
この者がいきなり現れたそうなので、理由を問いただそうとしているのですが、どうやら言葉が通じないようなのです。」






そのイル・バーニの言葉を聞いて、殿下はより一層驚かれた様子で、






「何っ!?言葉が通じないだと!?この象牙色の肌といい、ユーリの時と同じだな...。」






殿下の仰った言葉を聞いて、周りの皆もとても驚いた様子であった。






「では、どのようにしてユーリ様はお言葉を理解出来るようになったのですか?」






「それはだな...私が追われていた彼女を隠す為、ちょっとキスをしたら何故か話せるようになっていた。」






それを聞いてイル・バーニ以外は真っ赤になってしまった。






しかし、イル・バーニは普通のままで...










「そうですか。では彼女の場合も同じなのでは?」






と言うとイル・バーニは、スッと彼女の前に出て、グイっと自分の方へと引き寄せた。










「イッイル・バーニ!!!」










そのまま彼は彼女の腰を抱き、ぶちゅっとキスをした。






すると、彼女はいきなりキスをされたことに驚き、顔を真っ赤にさせながら、






イル・バーニの身体をドンッと突き放した。





















二話目を更新いたしました。
なんか皆さんの反応が気になる次第...。


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